男のきもの暦

四月その一

ようやく春めいて来ると、厚手の真綿では流石に重く、紬の中でも薄手の物を着たくなります。
これは薄ねずの地に黒の小格子。問屋のバーゲンで買った物ですが、値段に似合わぬ着やすさで毎年この時季と十月後半、袷の初めと終わりに愛用しています。こういうのを店主の役得といいます。
同じ線文様なのに、何故か縞はキリッとし、格子は寛いで着られます。一方向しか無い縞は潔さや真っ直ぐさを求められるのに対し、たてよこで表される格子には、人を安心させる性質があります。
それぞれに、「よろけ」や「みじん」といったバリエーションがあり、それぞれに趣を異にします。
よく女性のお客様でも、「私は野暮だから縞は似合わない」などとおっしゃる方がおりますが、あまりにも短絡的、と言って悪ければ、もったいない料簡です。
一口に縞と言っても大きな棒縞から無地に近い物まであり、また色使いや生地によっても粋にも上品にもなります。

あまりご自分で領域を決めてしまわずに、信頼出来るアドバイザーの意見も取り入れて、たまには冒険もしていただく方が、より世界を広げること間違いないでしょう。

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