男のきもの暦

一月その一

お正月に写真を撮っていたのにアップしてなかったこの着物。
私が成人式の時、初めて自分用に誂えてもらった飯田紬のお対です。

同い年のいとこが三條で振袖を作る時その世話をしたのが、今思えば私の見立て初めだった訳ですが、自分も祖母に一式誂えてもらいました。

普通なら成人式ですから羽二重か御召になるところですが、三條には在庫がなく、またこの紬の色合いがとても気に入ったので、何の疑いもなく選んだと言う訳です。

羽裏はがいこつ、羽織紐は三條の社長秘蔵の古い物で、今では見かけない、洒落ていてしっかりとした組みです。色も何とも言えない渋いグリーンで、普通なら茶系を選ぶところ実に絶妙な色あわせで「三條好み」の最たるものであり、他の物を付ける気にはなりません。

これはあまりに長く着倒したので、数年休ませていたのを久々に仕立てました。

袖を通すと、まだ若かった二十歳の自分と、私を呉服の世界へと導いてくれた祖母の事をしみじみと思い出さずにはいられません。
もし私の息子が着物に関心を持ち、自分から着たいと言い出す様な日が来たら「これはあんたのひばあちゃんがねえ」と語って聞かせる、そんな思い出の着物です。

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