私のいきつけ5 アンファン

麗子ちゃん接待の二夜目は、最近の洋食系のお気に入り、追手筋のビストロ「アンファン」へ。

ここのシェフは彼が独立出店する時、縁あって物件探しに付き合って以来、開店してしばらくは訪なう事もなく打ち過ぎていたが、昨年末、草笛光子さんがショパンのピアノにあわせて朗読という公演で来高の夜、御一緒した当店のお得意様、マダムTの「美味しいわよ」というお誘いで初めて訪問。
夜中の二時までやってるのが嬉しく、観劇やコンサートの後ゆっくり食事の出来る店のほとんどない高知に於いて、まことに貴重であり、その上料理は良し、愛想の良すぎないシェフと、それを補って余りあるスタッフのサービスの程の良さも申し分ないコンビネーションである。

今宵の献立は、ほとんどサービス嬢のオススメを丸呑み。
こんな事は私にとっては奇跡に近い。だいたいメニューに穴の開くほど眺め尽くし、絶対ミスチョイスしたくないと、粘りに粘って考える事が多い。が、彼女に言われると、「言うこと聞かなきゃ損する」という気になるから不思議である。相性が合うというのか、虫が好くというのか、実にポンポンとテンポ良く、「じゃそれにして」となる。



一皿目は「めしいかのカルパッチョ」、二皿目「温野菜のエチュベ」、三皿目「筍と鴨のコンフィ」と続いて、今日のハイライト「稚鯛のブレゼ」が供された。


私は今まで高知のレストランで「こりゃ美味い!」という魚料理を食べた記憶があまりない。子供の頃からビンビンの刺身を食べて育っているからか、色んなソースで味付けした魚料理という物が、どうしても食べ劣りする。それと仕入れが加熱用の二級品、場合によっては冷凍である為か、はたまた火加減の問題か、水分が飛んでしまってパサパサの事が多い。肉汁の事には気を遣っても、魚汁という物に神経が届いてないのではないか?

しかるにこの稚鯛はどうしたことか。実にみずみずしく、具の塩加減を絶妙に引き出した味付けで、箸の進むことと言ったらない。麗子ちゃんともども「美味い」「美味しい」を連発して、頭から尾っぽまで、きれいにしゃぶりつくした。


まるでピラニアである。
久々に、美味しいだけでなく、嬉しい料理に出逢った。こういう食事は、まさに明日への糧となる。


食いしん坊の我々は、この上だめ押しに辛子肉という牛の腕肉まで平らげて、二次会へと繰り出したのであった。そして、その後は〆に天ぷらそばをもちろん和楽路屋で。「もう食べられませーん」などとは決して言わない麗子嬢、連れ回し甲斐のある客人である。


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