続冥利

先日、旧臘以来ご無沙汰している名古屋のお客様がふいにメールを下さり、単衣を作りたい、との嬉しいお便り。

このお客様は昨秋、御園座歌舞伎公演の終演後、若い役者さんたちと飲みに行った御縁で知り合い、私が「うちはオリジナルで歌舞伎柄の染め帯とかやってますのでよろしく」と言うと、是非見たいとおっしゃる。

帰って即、何点か写メすると気に入って下さり、帯と着物セットでお買上げ。

どこに御縁か有るか分からないのが人生の醍醐味である。

そして今回も、御園座で座長を勤めている片岡愛之助さんと話していて私の事を思い出してくれ、そうだ単衣を作らなきゃ、となったらしい。

早速オススメを二点写メし、うち一点を今日決めて下さった。淡い銀ねず地に銀の山暈し、その上に本友禅で薄が描かれた付下。

生地もあまり透けない紗の組織で、晩夏から初秋にかけて着られるもの。

メールで着物なんか良く買うわ、しかもケータイの小さな画面で、と思う人もあるだろう。が、うちにはそんなお客様が存外いらっしゃる。

もちろん画面で見たのより数倍素敵で、そのお客様にぴったりの品が届く事を信じて下さっていればこそ。

この信頼され方が、こたえられない当流の呉服屋冥利である。

呉服・着物・和装 高知県高知市 (c) ごふく美馬.