京の名店その七

今日は東京から京都へ戻り、おととい行き残した問屋さんを回る。

問屋さんが「晩ごはんどっか行きまひょか?」と誘ってくれたので、前から食べたいと思っていた晦庵河道屋の「芳香炉」を思い出し、梅嘉ちゃんも誘ってみたら今日は九時からの宴会まで空いてると言うので、それまでに食べよう、と六時に集合。


ちゃんとごふく美馬の濃グリーン地の金描きのススキの着物を着て来てくれる。

奥の席を貸切りで使わせてもらう。折よく雨で庭の風情が一段と増し、窓を開け放して雰囲気抜群。

眼目の「芳香炉」とは蕎麦つゆベースの寄せ鍋であるが、今日はタイミング良く、松茸入りがあったのでそちらを注文。
つまみ二三品でビールをやっていると、鍋登場。


昔はこの鍋の真ん中に炭を入れてやったらしいが今はガスである。

まずはツユを味見。初め普通に、次いで松茸近辺のツユを掬うと、堪りませんな、この香り。今日はなんとなくタイミングがいい。

続いて松茸も頬張る。土瓶蒸しより豪快に食べられて、かなり高得点。

ほうれん草にはちょっとすだちを搾る。これまた絶妙。今日は初めてで勝手が分からず、何がどんだけ入っているか探り探りだったので、ほうれん草の半分くらいを炊き過ぎてしまったが、次回は早々にほうれん草を引き上げ、シャキシャキの状態で食べよう。

鶏肉、しんじょ、九条ねぎ、菊菜、ひろうす、引きあげ湯葉、などいずれも吟味された食材である。

この鍋、不思議な事にずっと炊いているのに煮詰まるという事がない。

最後まで辛くならずに一定の味なのは何故か?相当飲んでいるのにいつまでもツユが無くならないのも妙。下から湧き出しているかのようである。

最後にうどん、蕎麦の順に投入。お腹もふくれ、味にも大満足。これで一人前五千五百円(松茸なしは四千円)は値打ちである。

また一つ、嬉しい京の定番が増えた。

鍋食うや
語らう庭に
秋の雨

呉服・着物・和装 高知県高知市 (c) ごふく美馬.