そぼ濡れし花
今日仕舞の稽古場へ向かう途中、普段通らない川沿いの土手道を通っていると、立派な三階建ての、まだ新しかろう家の前に小さい家庭菜園があり、そこに綿花が植わっていた。
花材として見たことはあっても、実際土から生えているのを見るのは初めてであったので、とても新鮮だった。
思わず車を停めてシャッターを切った。カンカン照りではなく、雨が一瞬上がった曇り空だったから、余計に陰影に富み、強く私の心を惹き付けたのだろう。
個性的で、とても趣味の良い大人の女を連想させるたたずまいの中に、一抹のエロスを感じさせる。
何故この花を、長谷川潔や濱口陽三がマニエール・ノワールで描かなかったのか、実に、実に不思議である。
取りこぼし、というものはどこの世界にでもあることだが…
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