夜食の愉しみ4

先日お得意様の結婚式のお見送りの時、新郎新婦からのお土産に赤い包みを渡された。

通常は良くあるクッキーやキャンディーであるが、これは中身を隠した長細い物であった。
帰って訝しく包みをほどくと、なんと棒ラーメンであった。


しかも見慣れぬ「万長ラーメン」。
裏書きを見れば愛媛県西条市産。
思えば今日の新郎は愛媛の人であったによって、高知での婚礼にあたって一抹の愛県心を出したものとみえる。
これが当たった。多分私だけに。

パッケージの正しくローカルな所も気に入ったが、内容がまたくせ者。
三分間で美味、と書いてあるがとんでもない。鍋に湯を沸かし、手に取って玉簾式に麺を広げると、その本数は明らかに少なく、かなり太麺である。

果たして三分ではとうてい硬すぎて食えない。三十秒ごとに麺をチェックしたが結局五分かかってようやく丁度良い硬さになった。
愛読者には繰り返しになるが、私はかなりの硬麺派である。

スープは業務用に良くある練り状の薄茶褐色のペースト。


出来上がって箸を付けてみたが、ちょい物足りない。
基本的にはサンヨー塩ラーメンの筋である。してみれば胡麻と胡麻油の出番。


ぐっと旨くなった。
しかしこのラーメン、他に無い特色がある。食べ進んで終盤戦、全然のびた感が無いのである。
それどころか、十分水分を吸ったところで、まるで生麺の様なたっぷり感を出し、少しも動じる事がない。

これは煮込みラーメンに最適な麺である。
鶏肉を用い、ぐつぐつ煮込んだら、六本木香妃苑は大袈裟だが、面白い物が出来るだろう。
後日譚乞うご期待。

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